環境シンポジウム千葉会議
                         

    環境シンポジウム2010千葉会議 開催報告

パネルディスカッション 
「低 炭 素 社 会 と 生 物 多 様 性」
      コーディネーター 船木成記氏(蠻酳麁牡覯莖発部)

 コーディネーターに船木成記氏(蠻酳麁牡覯莖発部)を、パネリストに今回講演発表をしていただいた清水善和氏、進士誉夫氏、手塚幸夫氏、それに子育てをしながらイタリア料理教室を開いたり、多方面で活躍中の前澤由希子氏を迎えて討議が行われた。

 船木氏…まず最初に、一市民の立場から、前澤氏に話をしていただいた後、順に意見を述べてください。

 
   

前澤氏…「低炭素社会」とか「生物多様性」といった言葉はよくわからない。「低炭素社会」よりも「低CO2社会」の方が分かりやすいのではないか。
進士氏…多様なものとうまく関わっていることが重要である。これは哲学にも通じる。その中でエネルギーは生きるための1つのツールであり、考えていかければならないことである。
手塚氏…進士氏の発表の中で出てきた「ロバスト性」にハッとさせられた。1つがこけても大丈夫ということ。清水先生のエネルギー流の話で里山衰退と密接に関わっているとのことだが、谷津が再生されても社会は変わらないのではと考える。
清水氏…自然も地域性が大切。場所が変われば植生も変わる。CO2に関してはオフセット制度があり、埋め合わせできるが、原生林は一度壊れると元に戻らない。
船木氏…名古屋市にある藤前干潟であるが、市のゴミ処分量はあと2年分しかない中で、藤前干潟の近くにゴミ埋立計画が立ちあがったが、市民の保全活動により、十数のゴミ仕分けを行ったりすることによりゴミ減量が進み、処分場も長生きしている。これも手の打ち方の多様性といえるのではないか。(前澤氏に対し)イタリアではどうですか?
前澤氏…イタリアのパルマは生ハムが有名であるが、これは山から海へ吹く風が貢献していると思う。そこの空気とか山にある微生物、カビ等が影響しているのではないか?パルマは太陽と風と微生物とでおいしいハムが作られている。環境が変わると食も変わってくる。
手塚氏…いすみ市で天然酵母パンを作っている。古民家を利用しているが、空気中の酵母が影響しているのではないかと思っている。我が家では、築80年の納屋で天然発酵の醤油も作っている。友達は築15年の新建材の建物の中で作っているがダメである。これは周辺の環境によると考える。千葉県という所は健康、不健康の境目に位置していると思う。谷津を病院に見立てて話をしたが、要はバランスの問題である。
船木氏…地域の健康力の問題ですね。人の組合せも大事であり、精神的に病んでいる人も土をいじることで元気が出る。生物多様性と言っているが、人間の多様性ということも考える必要がある。人間の多様性とはどうなのか?は私の問いとなっている。
清水氏…小笠原諸島等の大洋島ではブナ、シイ、カシ等の植物はない。鳥が種を運ぶことができなかったためである。また、大型動物もいない。限られた種類からなる独特の生態系で成り立っている。約80%は固有種である。これはガラパゴス諸島の場合と同じ状況である。私は、「日本ガラパゴスの会」を通して自然保護・保全活動を応援している。
船木氏…(進士氏に対して)ビジネスの上においても多様性は大切であると思うが・・・。
進士氏…日本のエネルギー業界は世界の中で特殊な状況にある。メインの電力だけでは商売がなかなか立ち行かなくなっている。太陽光発電、太陽熱、風力、バイオマス等いろいろな商材を売っている。しかも、東京圏内だけでは駄目であり、インド、アメリカでもビジネスを展開している。これはエネルギーサービスの多様化である。
船木氏…あるものに対して評価するのはなかなか難しく、今回は共通の指標がCO2ということで“見える化”となっているのは良いことだ。しかし、双子の条約である「気候変動枠組み条約」と「生物多様性条約」は分かりにくい。「地球に生きる生命の条約」とした方がもっと分かりやすく親しみやすいのではないかと感じる。日常の中でこの2つのテーマをどのように取り入れるかが問題である。
清水氏…決してこのテーマの中で人間が抜けているわけではない。私としてもグリーンセイバー資格検定制度等があり、そこで活動している。
手塚氏…人にはグリーンセイバーのような人もいれば引きこもっている人もいる。いろいろな人が集まって活動することが多様性の持つ力である。人間には必ずどこかに見えやすい空間というものがある。これを実感できることは多様性である。実感できなければ自分のいる場所を変えてみることが必要である。
前澤氏…「生物多様性」は馴染みのない言葉である。そんなに便利になる必要があるのか?イタリアは発展を辞めた国であると私は思っている。不便な面はあるが、自然まかせのところがある。そこで生活するとやがて生活リズムが馴染み、心地よいものとなる。おいしいものがあるからと言って、全国に流すことはしない。地元の人しか食べることができないのである。
進士氏…日本は電気、ガスエネルギーは万全を持って供給されている世界に類を見ない国である。高い信頼性があるが、今後この意識から脱却していかなくてはならない。エネルギーが供給されることはタダではない。身近で発電したりして地域として供給源を確保しておくとかが必要になる。一人ひとりが考えていく良い機会ではないかと思う。地域としてまとまり、人と人との繋がりを大事にすることにより人間社会を作り上げていく必要が出てきている。
船木氏…目指すところは共通だけれども差異ある責任を認め合うことが必要ではないか。企業にしかできないこと、NGOやNPOにしかできないものはある。これらが協働して発展していく。地球温暖化対策のほとんどが生物多様性に貢献できるはずである。地球への負担を少なくして地球の生態系の範囲内で豊かな生活を実現することを目指すべきである。「環境問題」は「関係問題」である。自分と他者との関わりが重要であり、この関わりを通して環境を含む社会が変わっていくものと考える。
今日はどうもありがとうございました。

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浦安市市民活動センター