環境シンポジウム千葉会議
                         

   環境シンポジウム2010千葉会議開催報告

明るく豊かな持続可能な社会の実現に向けて
       〜 低炭素社会と生物多様性を考える〜    
日時:11月20日(土)13:30〜16:45
場所:千葉市生涯学習センター大研修室
基調講演
「森から見た地球温暖化と生物多様性」
  清水 善和 氏 駒沢大学総合教育研究部教授
事例発表
「スマートエネルギーネットワークの推進」
  進士 誉夫 氏 東京ガス(株)スマートエネルギー技術センター所長
「里山・里海と生物多様性・・・南房総の現場から」
  手塚 幸夫 氏 夷隅郡市自然を守る会事務局長
報告
「太陽光発電住宅と尾瀬自然環境保護活動見学から学んだこと」
  三須 友則 氏 当実行委員会
パネルディスカッション               
「低炭素社会と生物多様性」
  コーディネーター 船木 成記 氏 (株)博報堂 企画開発部

開会 挨拶            桑波田和子実行委員長
環境保全の推進、環境教育の啓発と交流の場を作ることを目的に、市民、企業、行政及び大学とのパートナーシップからなる本シンポジウムが開催されて今年で16年目となる。今回は、低炭素社会と生物多様性をテーマとして、この業界で忙しく活躍されている方々を招いた。
基調講演、2例の事例発表、事業報告及びパネルディスカッションを通して一緒に考えていただきたい。

 
   

基調講演
「森から見た地球温暖化と生物多様性」 清水善和氏(駒澤大学総合教育研究部教授)
もともと生物というものは炭素が主成分の有機物からできているし、持続可能な森林の利用が地球(人類)を救っているんだということから考えてみると、炭素は大変“有り難い”物質である。しかし、一般によく言われている「低炭素社会」は、文字通り受け取ると「炭素の少ない社会」となり、理解しがたい。「低CO2排出社会」、「省エネルギー社会」と言うべきではないかと思う。我々が存在するのは宇宙に炭素という元素があったためであり、炭素は生態系における物質の循環やエネルギーの流れ、生物と環境間の相互作用に大きく貢献している。
生態系の中で森林は大きな役割を持っている。森林は人の手の入る程度によって人工林、二次林、原生林の3タイプに分けられる。人工林は木材生産を目指す“木の畑”、二次林は人為により改変された林、原生林は人為の影響のない林で自然の内容を表すよき指標となっている。人工林(スギ・ヒノキ植林)は国産材として売れなくなり、放置され、手入れ不足のところが多い。管理が行われない結果、土地の保水力がなくなり、土砂崩れ等が発生してしまう。これは自然災害ではない。
樹木の半分は炭素から構成されている。生態系の物質循環とエネルギー流の関係から炭素の収支を考えると、個々の樹木の場合、種から樹木に成長するまでは、CO2を吸収し炭素を貯め続ける。倒木し利用すると、今度はCO2を放出することになり、トータルとして差し引きゼロ(物質は不滅)となる。一方、森林の場合、裸地から成熟した森林になるまでCO2を吸収し炭素を貯め続ける。
しかし、一旦成熟すればCO2を減らさないが増やしもしない状態となる(差し引きゼロ)。伐採し利用すればCO2を放出することになる。即ち、〔擇魄蕕討突用すればトータルでCO2を減らさないが、増やしもしない。⊃∧
(木)を介して太陽エネルギーを持続的に利用できる。L攤爐和斥曠┘優襯ーを貯めた充電池とみなせ、木材活用も太陽エネルギー利用の一形態である。づ垈颪涼罎砲燭さんの木材製品を貯蔵することは、森林を作るのと同じ効果(炭素の貯蔵)をもつ。と言うことができる。その意味では「高炭素社会」と言った方がよい。
結論として、森林を大切にし、活用することが、地球温暖化防止、生物多様性保全の両方に役立つ。ただし、管理の仕方に注意する必要があり、原生林は人為を加えず、自然の推移にまかせる。二次林は適切な人為を加えて目的の状態に保つ。人工林は適切な施業を行い、持続的な木材生産を行うことが必要だ。
事例発表
1.「スマートエネルギーネットワークの推進」 進士誉夫氏(東京ガススマートエネルギー技術センター所長)
私たちの暮らしを支えるエネルギーには、まだまだ無駄になっている電気や熱が多くある。その無駄なエネルギーを少なくしたり、複数の建物で電気や熱を「ネットワークでつないで」融通することにより、効率的にエネルギーを使うことができる。東京ガスでは、“スマートエネルギーネットワーク”という新しいエネルギーシステムを提案している。
本システムは、エネルギーの需要と供給のバランスをコントロールしにくい再生可能エネルギー(太陽光発電、太陽熱、風力、バイオマス等)を発電機や蓄電池を制御することで安定させ、再生可能エネルギーの導入を図ることができる。これによって、エネルギーを有効利用できるため、低炭素社会に貢献できるし、多様なエネルギーを組み合わせて使うため、エネルギーのロバスト性(柔軟性・強靭性)が高まり、地域のエネルギーセキュリティを保つことができる。
事例発表
2.「里山・里海と生物多様性・・・南房総の現場から」手塚幸夫氏(夷隅郡市自然を守る会事務局長)
地域での生物多様性について考えるとき、その保全に取り組んだ成果や変化が目に見える、更に実感できることが重要と考え、谷津を想定した。私たちは、耕作が放棄され荒れた谷津の再生に取り組んでいる。
30年間放置されてきた谷津の2か所においてそれぞれ5年間再生を進めてきている。それぞれ1年ずつかけて斜面草地(やな)を再生し、間伐により森に光を入れて低地部の水路を整備し、谷津田を復元してきた。 その結果、変化は目に見え、イノシシやニホンジカの出没を抑えることができ、再び水田での生産を行うことができた。この活動の中で人を癒す事ができることから医者のいない「ちば谷津田再生会記念病院」としても活動している。
将来的には、循環型社会のモデル、生物多様性のビオトープ型モデル空間、有機農業の実践の場となることを目指している。地球60億人の0.1%は600万人、これは千葉県の人口である。0.1%という数字はやってやれない数字ではない。千葉県が動けば地球を動かす事ができるとの気持ちで活動している。
事業報告
実行委員会の事前学習会の報告 三須友則氏(副実行委員長)
下記の2つの学習会について報告が行われた。
4月2日(金)に群馬県太田市郊外の世界有数の太陽光発電住宅街「城西の杜パルタウンと富士重工蠡静長場」の見学について、日本大学理工学部電気工学科准教授西川省吾氏の案内の下で38名が参加した。
7月12日(月)〜13日(火)に「尾瀬の自然と生物多様性観察会」について、増淵氏のご尽力、自然観察指導員笹原氏の指導と説明を受けながら実施した。参加者は25名であった。

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