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   『 私 に と っ て の 都 市 ま ち づ く り 』
  ―美しい自然の豊かな都市環境を思い描いて―


 私たちは戸田市の都市環境に何を求めてゆくのでしょうか?まちづくりに市民参加が不可欠となった今日、私たち一人ひとりが心に抱く希望が都市環境を形成してゆく要であることを自覚しながら、みんなで話し合い、目標を共有して美しい都市環境を作ってゆきたいものです。

 都市まちづくりへの想いは三者三様と思いますが、この特集では、私にとっての都市まちづくりについて、これまで委員を務めてきました“戸田市市民活動推進委員会”と“戸田市都市マスタープラン推進のための市民会議”の内容もご紹介しながらお話したいと思います。


◆ 原風景―自然環境が与えてくれるもの
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 私は子供のころ海辺の町に住んでいました。小学校への道のりは海に面していたので、私は下校時、浜辺へ降りては、海岸伝いに砂浜の上を歩いて帰るのが好きでした。少女であった私は、波と追いかけっこをしたり、美しい貝殻を拾ったり、打ち上げられた魚やくらげを観察したり、カニを見つけたり、誰かの足跡をたどったりしながら浜辺を歩いてゆきました。今から思えば、子供が一人で浜辺にいつまでも遊んでいたのですから、危険であったような気もします。時代がのんびりしていたのでしょうか?内気なところのあった少女にとって、自然はいつも包容力のある友人であり、心の癒し手でした。

 高校生のときに住んだ町にも海がありました。夕暮れ時、海に面して新しく整備された遊歩道のベンチに腰を下ろすと、空も海も、蒼から藍そして群青へと染まってゆき、
気づけば周りの全てが―自分も含め―その色に溶け込んでいるのでした。そしていつしかすっかり暗くなった海に魚が跳ね、そのしぶきが月光を受けて銀色に光るのを合図に元気を取り戻した多感な年頃の娘は、家路へと急いだものでした。

 戸田市には荒川や上戸田川、菖蒲川などが心の原風景にある方が少なくないかもしれません。私の舅が子供のころは、まだ水の美しかった荒川でよく泳いでいたと聞きます。
 それとも広々と広がる水田。青空の下、青田の水面を滑ってゆくアメンボ。雨の日、大合唱のアマガエル。秋の日のススキと赤とんぼの群れなどが、皆さんの心の原風景でしょうか。・・・今では田畑は次々と宅地に変わり、荒川の水質はちょっと泳ぐ気はしないものになりました。

 それでも戸田市は、周辺の都市と比較すると住環境が良いということで定評があります。これから十年後、二十年後、戸田市はどのような街になってゆくのでしょうか―?


◆ 何のためにどんな都市を?
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 大人になった私は、都市計画コンサルタントの会社に就職しました。私が入社したころはまだニュータウンなどの大規模開発が盛んに行われている時代でした。「安全で快適な利便性の高い都市を供給すること」を都市開発の理念として郊外の自然を切り開き、新しい住宅地が次々と開発されていました。

 世の中では、次第に不景気が深刻化し、事業採算が取れなくなった大規模開発の継続が問題視されるようになってきました。右肩上がりの成長が止まり、成熟化社会の都市計画に求められるものが何であるのか、考え直さなければならない時期がやってきていました。

 何のために、どんな都市を作るのか?そんな問いに悩んでいたころ、私は世界各国を旅する機会を得ました。その中で最初に、私が深い感銘を受けたのは、中近東の人々の心の温かさでした。宿への道を尋ねた少年のお母さんが、見知らぬ私を家へ泊めてくれたこともありました―無謀な話と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが。

 中近東を旅する人は、たくさんの人から「あなたの信仰するものは何ですか」と質問されるでしょう。答えに思案しているうちに、私には一つの疑問が沸いてきました。
「何を信じてこれまで生きてきたのだろう?」
「私たちの住んでいる現代社会は、科学技術がバイブルで、利便性の高い快適な生活が天国でお金に向かって祈るというようなものなのではなかっただろうか? 私たちの社会は、効率一辺倒で、何か大切なものを失ってしまっていたのではないか―?」


◆ 市民参加のまちづくり
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 結婚後、私は戸田市に移り住みました。何のための都市計画なのかと悩んだ時代は一昔前となり、今では都市計画の目標は、従来の「安全性・利便性・快適性」に、「持続性」が加えられたものとなったようです。

 自然を切り開いて新しい都市を開発するのではなく、エコロジーの視点を持ち、コミュニティも含んだ意味において、既存の都市をいかに維持・発展させ快いものとしてゆくか。そのためには、その都市に住まう人たちが自らまちづくりに参画することが大切です。市民参加のまちづくりも今では一般的なものとなりました。

 この10年ほどの間、財政難や公共事業に絡む収賄事件の摘発などが続いたため、公共事業はすっかり評判を落としてしまいました。市民の方々の中には、公共事業に使うお金があったら、もっと福祉政策を充実させてほしい、と考える方も多いと思います。
 
 しかし、環境が住む人に―その心にも―及ぼす影響は、想像以上に大きいものだと思います。大切なことは、何のために、どんな都市を作ってゆくのか、みんなで話し合って実現してゆくことではないでしょうか。


◆ 都市の姿を決める要素
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 都市の姿は大きく言って二つの要素によって変わってきます。一つは宅地に建つ建物の用途や高さ、容積率などの規制・誘導。もう一つの要素は、道路、公園・緑地などの公共施設整備です。

 日本の都市計画は地権者が自由に土地活用する権利を重視したことから、欧米諸国と比べると規制が緩やかであるといわれています。そのために、マンション、戸建住宅、工場などが混在し、調和に欠けた街並みが形成されています。

 容積率についていえば、戸田市の宅地の容積率は全域200%以上ですから、まとまった土地があればどこでもマンションが建ちます。したがって、戸田市で戸建住宅の住環境を守るには、まとまったエリアで地区計画などを定め、建物の高さや壁面後退などのルールを定めておく必要があります。

 戸田市では、工場移転跡地などに次々とマンションが建つので、街並みの変化に困惑している近隣住民の方も多いと思います。マンションの立地は、良好な緑住環境を形成するにはむしろ効果的とも言えます。中高層住宅地では広い敷地内に公園や緑地を設けることが出来るので、緑を残したり緑のネットワークを創ったりしたい場所に中高層住宅地を配置することは、都市計画では一般的な手法です。

 しかしながら、突然隣地に何がどう建つかわからない、という不安を解消するため、一定面積以上の敷地が取引される場合は、近隣に配慮した土地利用や設計がなされるかどうか、事前に市民がチェックし、意見を述べることが出来るような仕組みを、市の条例で作ってゆくことも必要ではないでしょうか。

 日本の地権者は通常、自分の宅地の容積率は高いほうが良いと考えます。容積率が高ければ、建物の床面積を増やすことが出来、土地の価格も上がると考えられるからです。都市の観点から見ても、たくさんの建物が建ち、街に人口が増えれば、様々な商業が成り立つようになり、利便性も向上しますので、やはり土地の価格は上がると考えられます。

 ところが一方で、街全体の建物が増え、需要をオーバーした場合、売れないマンションや借り手のない賃貸住宅などが増加し、不動産の資産価値は下がると考えられます。
通風、日照などの環境も悪化し、人口が増えますから道路は混雑し、排気ガスは増え、公共施設が増えない限り、一人当たりが受けることの出来る公共サービスの質は低下することになります。こうした環境の悪化は、いずれ資産価格にも影響を及ぼすでしょう。


◆ 公園・緑地や公共施設用地の確保
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 特に一定面積以上の敷地が取引される際、公園・緑地や公共施設用地として利用するための土地を市が積極的に確保することも、もう少し考えるべきではないでしょうか。

 ―税金をやたらに使うことになるとお考えになりますか?

 イギリスにはロンドンの都心から15〜20kmの範囲の市街地を取り囲んで、厳しく開発が制限される、グリーンベルトと呼ばれる地帯があります。日本でもかつてこれに倣った計画が打ち出されましたが、用地買収や厳しい開発規制など緑地を確保する手段を伴わなかったため、実質計画倒れに終わりました。イギリスでは自治体が積極的に用地を買い上げたため、グリーンベルトの幅は20km〜30kmという巨大なものになりました。

 イギリスで有権者が緑地のための用地買い上げを支持した理由は、優れた緑住環境が維持・創造されることに加え、開発できる宅地が少なくなり、その希少性が増すなら、所有している不動産の資産価値が高まる、という事実と無関係ではないようです。低所得階層が所有・賃借できる住宅がロンドン近郊により多く供給されるべきであるとする立場からはグリーンベルトに否定的な評価もあります。バランスに配慮しながら、戸田市はどのような都市環境を目標としてゆくべきか、みんなで話し合ってゆくことが大切だと思います。

 なお、戸田市 緑の基本計画(平成13年3月)を見ると、昭和60年に策定された公園・緑地整備の計画目標に対し、平成9年4月現在の公園の計画面積達成率は46.20%であることが記されています。これは、この時点の戸田市の公園面積は、都市計画理論に基づき必要な整備水準の半分以下でしかないことを示しています。


◆ 美しい自然の豊かな都市環境を思い描いて
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 戸田市には危険が認識されている道路も数多くあります。バリアフリーに配慮して歩道橋を撤去し、信号を設置することの要望が高い交差点もあります。防災の視点からも様々な施設の整備が期待されます。

 美しい自然の豊かな都市環境は住む人に尊厳を与え、みんなで環境を共有すること、分け合うことの大切さ、人知の及ばない自然の造形の美しさを前にして、謙虚になることを教えてくれると思います。

 私たちがそれぞれ身近な都市環境について考えていることについて、戸田市には同じように何とかしたいと考えている人がいるかもしれません。


◆ 戸田市まちづくり推進条例
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 今年9月、戸田市において「戸田市都市まちづくり推進条例」が制定されました。この条例は、戸田市民が3人集まれば、都市まちづくりに関する提言を行うことが出来るとしているところに特徴のある条例で、まちづくりのルール作りや、道路や公園などの都市基盤整備を、市民と市との協働により実現してゆこうとするものといえます。

 市民が集まってまちづくりについて提案するなら、行政はそれに対応し、実現に向けた支援策を検討することになります。私はこの条例について、非常に良いものが出来たと喜んでいます。

 一方で不安もあります。市民からの要望がまとまる地域とまとまらない地域との間に格差が生じる可能性があるのではないかと思うからです。例えば公園整備を例に取ると、人口当たり面積などの整備指標を用いたとき、新しく戸田市に転入した人口が多い地域では、他の地域よりも公園整備をより必要とするにもかかわらず、新しい住民ばかりで地縁的コミュニティが希薄であるために、この地域では整備が一向に進まない、というようなことが起こりかねないと考えられます。

 地縁的コミュニティになじみのない市民の方は、どうすればまちづくりの目的を共有する仲間を見つけて、この条例を活用することが出来るでしょうか?


◆ 支援センターと支援サイト
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 市民活動推進委員会は、地縁的コミュニティを通じてのみならず、市民の皆さんがそれぞれ興味のある活動テーマを通じてコミュニティへ参加できるよう、市民活動の活性化方策を審議するために設けられました。戸田市ボランティア・市民活動支援センターや、皆様が今ご覧になっているこの支援センターホームページは、その重点施策として実現されたものです。

 支援センターホームページには、市民活動団体を支援する様々な機能があります。その一つに、団体内メッセージ機能があります。当ホームページに団体登録をすると、団体の会員はこの機能を通じて相互に連絡を取り合うことが出来ます。

「こんなまちづくりをしたいのですが、同じように考えている方はいらっしゃいませんか?」そんな話題を、気軽に交換できる市民活動団体なども、将来できると良いなと思っています。

【文責: M.Y.K】

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平成19年11月10日(土) 10:00〜12:00  戸田市役所5F大会議室にて
戸田市都市まちづくり推進条例に関して話し合う『まちづくり市民フォーラム』が開催されます。

◎詳しくはこちらをご覧ください。URL:http://www.city.toda.saitama.jp/8/7089.html
 
情報掲載日:2007/11/02
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