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ホーム > 環境・みどり全般 > 環境みどりNo.37 ≪鳩の被害について(前編)≫(R03.10.29)

鳩の被害について(前編)

 野鳩(野生化した伝書鳩)の糞害は町の美観を損ね、洗濯物を汚すばかりではありません。ハトの糞には感染症となる菌がいますし、ハトの羽毛にはアレルギーや皮膚炎の原因となるダニが好んで潜んでいます。ハトは決して平和をもたらす鳥ではないことをわきまえて、むやみに野鳩に餌を与えることは慎まなければなりません。

 餌を与えることで繁殖力(年に3〜4回)が高まります。多くの野鳩が市内(新曽さくら川・後谷公園・戸田公園駅周辺)で見受けられますが、その数は年々増加しています。特に、新曾さくら川周辺では、当初10羽程度だった野鳩が繁殖して、近年では50羽以上に増えています。

 異論があるのは承知の上ですが、野鳩(野鳥)への餌やり禁止条例を定めている府、県、市があることを踏まえると、戸田市においてもこのような条例を定める必要があると思われます。路上喫煙禁止条例のような過料付きの厳しい条例の制定を望みます。

◆ハトやカラスに起因する「人獣共通感染症」について
 人間とほぼ同じ生活空間を共有しながら、独自の社会を作っている野生動物がいます。ネズミやカラスやドバトに代表される「都市型野生動物」です。彼らは餌やすみかに関して人間社会を巧みに利用し依存している上、集団の密度も高いため、いったんその中で病気が流行すると、直ちに人間に対する大きな感染源となる可能性をはらんでいます。

 特に、感染源としてのハトの糞の危険性についてですが、公園などでは不特定多数の人間によって餌付けが行われるため、多数のハトが群れをなして集まってきます。その結果、大量の糞便が堆積したり、風で舞い上がったりしています。この糞便にはクレアチニンという物質が豊富に含まれています。クレアチニンはクリプトコッカスという病原性真菌の増殖に必須の栄養素でもあり、ハトの糞はクリプトコッカスの増殖の温床になっていると指摘する研究者もいます。

 クリプトコッカスは、ヒトの肺などで増殖して、小児や高齢者など、免疫力の低い人たちの肺や脳に病変を作ることがあります。糞が堆積したり風で舞い上がったりしないように、頻繁に掃除をするのがクリプトコッカス感染に対する最も手っ取り早い予防法と思われます。

 「クリプトコッカス症」以外にも、ヒトに伝染するペット等の病気として「オウム病」があります。「オウム病」という病名からすると、オウムだけから感染する病気と思われがちですが、オウムを含めインコやハト、ニワトリ、アヒルなど、ほとんどの鳥類が菌を持っているといわれています。
◆クリプトコッカス症とは
 ハトの糞便に潜むカビから発症します。感染動物はハト以外にネコで、経口により感染します。人の主な症状は、肺に感染した場合、発熱、胸痛。髄膜炎になった場合は中枢神経症状になり、死亡する場合もあります。

 クリプトコッカス菌はカビの一種で、土壌中に広く分布しています。鳥類の堆積した糞便に含まれている窒素成分を栄養源に、低温のところでよく増殖します。ただし、トリの体内は哺乳類より体温が高いため、感染も増殖もしません。トリでは菌が増殖できないため、糞で増殖し、物理的に広がります。

 また、止まり木などハトがよく止まる場所にも付着しています。ハトの糞便が乾くと、空中に舞い上がり、呼吸と共に人の肺の中に取り込まれます。感染した場合、肺に病巣を作りますが、比較的軽い病気です。しかし、HIV感染者や臓器移植後の免疫抑制剤を使用している人など、免疫力が低下している場合、高確率で感染します。感染すると中枢神経に侵入し、髄膜炎や脳炎を起こします。免疫力が落ちている人の場合、死に至ることもあるので注意が必要です。また、発症するまでの期間には個人差があります。

◆オウム病とは
 病原体はオウム病クラミジアです。感染したトリの糞便の中に混入しています。鳥かごを掃除するときに乾燥した糞便が舞い上がり、人が吸引することによって感染したりします。原因菌のクラミジアは、細菌とウイルスの中間的な病原体で、生きた細胞の中だけでしか生きられません。
 ※画像はオウム病クラミジア感染浮遊型L細胞の切片像

 人が感染した場合、大人が発症することが多く、子どもへの感染は比較的、少ないといわれています。症状としては、1〜2週間後に発熱し、セキが出て頭痛、全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛など、インフルエンザによく似た症状が現れます。こじらせると呼吸困難や重症肺炎、髄膜炎を起こして死に至ることもあります。

 カゼに似た症状のため、ペニシリン系の抗生物質を用いやすいのですが、効果がありません。トリを飼育していて、人にカゼの症状が出てトリの具合も悪そうな場合には、ただちに病院に行きましょう。

 感染した場合、人もトリも抗生物質での治療が可能です。人の場合は、抗生物質を投与しながら血液検査で経過を見ます。トリの場合は、抗生物質を30〜45日間投薬し、その後の検査で糞便からオウム病クラミジアが検出しなくなれば、完治したと考えていいでしょう。

 オウム・インコ類、ハト、シチメンチョウ、アヒル、十姉妹やカナリアなどのフィンチ類、野鳥の順に人に重い症状を引き起こします。

 トリが感染した場合は、さえずりをしなくなり、次第に元気がなくなってきます。さらには食欲が落ち、下痢を起こし、死んでしまうケースも少なくありません。

 オウム病を防ぐには、普段から過剰な触れ合いをせず、口移しでエサなどを与えないこと。トリに触ったら、必ず手を洗う。乾燥した糞便から病原体が空気中を漂い、吸い込みやすくなるので、鳥かごやベランダ等の糞はこまめに、よく掃除して清潔を保つようにします。糞便からオウム病の検査を行うことができます。
  ※本稿は鳩対策センター「鳩の被害について」の資料を引用しています。
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文責:アルパインクラブ戸田(戸田山の会)岩崎 繁夫
問合せ:戸田市ボランティア・市民活動支援センター
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掲載:TOMATOホームページ事務局(校正M.Y/編集S.Y)(2021/10/29)
 
情報掲載日:2021/11/10
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