年輪の会

2017年度 第5回 年輪の会研修会の報告

 2018年3月4日(日)、荏原保健センター 多目的室にて、今年度最後の研修会が行われました。参加者17名。
 テーマはそのものズバリ「保健センターでのデイケア〜品川区の行政デイケアの現場から〜」。講師は、長年デイケアに携われている飯塚伸一さん。品川区独特の精神デイケアを紹介して頂き、多様化しつつある精神保健福祉の現場で、役割を終えたと言われる行政の精神デイケアに一石を投じる内容になりました。
 飯塚さんは品川区保健所 保健サービス課の臨床心理士で、年輪の会が同センターで研修会を行う時に、いつも助けて下さる方です。満を増しての登場になりました。
 

 
   

 開演前。
少しづつお客さんが増えてきています。
あちこちでビラ巻いていますからね〜。
 品川区の精神デイケアは、1984年に荏原、翌年に大井の保健所(現 センター)で開始。前年発足された家族会「かもめ会」で挙げられた、引き籠りや行き場のない当事者が集まれる場所の提供として始まった。
ちなみに、精神障害者の地域社会への移行が提示られた精神保健法は1988年。
 飯塚さんは、20数年前に、品川区の知的障害者部署から精神デイケアに移動。
9割の人が統合失調症で、陰性症状による意欲低下の人が多く(薬の副作用による過鎮静)、非自発的な参加(お母さんに叩かれたから!)、自分の病気の名前を知らない(知りたくない)人もいて、驚いたという。
 デイケアの目的
陰性症状のある人に社会参加を促す。目的は今も昔も変わらない。
・対人関係の円滑化
・日常生活習慣の習得
・孤立化の軽減
・再発の防止
・社会生活の適応能力の向上
 デイケア参加者の条件。
品川区在住で心療内科や精神科に通院中の人(医師が常駐していない為、症状が安定している事が条件。再入退院後、再参加するも例もある)。
本人が申し込んでいる事。
*写真は利用申込書。

 デイケア参加者の内訳
統合失調症が約6割。
うつ・双極性障害、約2〜3割。
神経症圏、約2割。
発達障害、約1割(過去の統合失調症の診断の中には、発達障害もいるといわれている)。

平均参加者、20〜23名。
平均年齢、「品川」40歳代。
     「荏原」50歳代。
男女比、6〜7:4〜3(女性には他に居場所がある?)
生活保護受給者、約2割(品川区民約39万人内では0.5%)。
 デイケアの内容
基本的に月末の週に、皆の話し合いで決める。
外出(見学、ゲートボール、ボーリング)、室内(調理、フリー、映画、卓球)。
*写真は、現在流行っているハイパーピンポンをスタッフが再現したもの。

防災(薬、避難場所、備蓄など)と栄養、歯科などの情報はスタッフが企画している。
 医療デイケアとの違い。
精神科病院・クリニックのデイケアと比較すると…、
無料(自立支援医療の対象ではない)。
保険点数にならないので、参加が自由。時間内であれば参加時間は要相談、一部分だけ(午前、午後のみ)の参加も可能。ナイトケアは無い。
住んでいる地域の担当保健師と話し、その日のうちに家庭訪問、受診同行が出来る。
プログラムはメンバーで決める。
*写真は、飯塚さんの手書き図。
 品川区のデイケアの特色1。
毎週火曜日「品川保健センター」、木曜日「荏原保健センター」。
どちらか1か所を選択出来る。
地元は利用したくないという人への配慮である(今は偏見が薄れつつあるのか、近場を選ぶ人が多いという)。
ちなみに、他区では保健所の管轄内、つまり住む地域によりあらかじめ利用出来る場所が決められている所が多い。
 品川区のデイケアの特色2。
福祉作業所や、アルバイト等を利用している人が、趣味や仕事の息抜きとして利用する事が出来る(ある程度の期間通うと仕事にシフトしていくという)。
本人が望まない限り、無理に退会させない。

 他区のデイケアでは、作業所や仕事等に通える人は、原則として参加を断られる。
 精神保健福祉の資源に序列を作らない。保健所デイケアが治療の始めで、就労がゴールという捉え方をしていない様に思える。
 様々な状態の当事者が一緒に
活動し、情報を共有する事に意味を持たせている。
 品川区のデイケアの特色3。
実習生を長期(少なくても半年以上)受け入れている(荏原保健センターのみ)。
品川区内には福祉、心理系の大学が数校ある。
長期間受け入れる事でこそ、当事者への理解が得られる。
当事者も一緒に成長する事が出来る。
 質疑応答
薬の話。
副作用、合う薬は人それぞれ。

 副作用は一般的に太ると言われるが、減薬等でやせる事もある。急激にやせた場合、筋肉の減退で立ち歩けなくなる例もあった。
当事者にとって治療とは、医師による受診のみではなく、デイケアの様な様々な人が関わる継続的な場所が必要になってくる。
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