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奈良時代の天皇から一般の人びとまでの歌を集めた万葉集。
これに歌われた植物を万葉植物と呼んでいます。
鑑賞のための花から実用的な植物、現在では雑草とされているものまでさまざまです。
私たちが住む東大阪でも見られる万葉植物を順にご紹介します。
一般に“萬葉集”の文字を使いますが、ここでは万葉集で表記します。
花の名のひらがなは万葉名、カタカナは現代名です。
今回は ふぢばかま(フジバカマ)キク科の紹介です。
「鳩まめ倶楽部 酒野晶子」
http://www.do-natteruno.com/con_c/c17/c17.html
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唐からやってきた花
この歌は、山上憶良が秋七草を詠んだもので、その中にあるフジバカマは、淡い紅紫色の、私たちにもなじみの深い秋の花です。
しかし、このフジバカマは、奈良時代に日本に渡ってきたもので、憶良の時代ではまだ新参の帰化植物であったろうと思われます。
それが歌に詠まれ愛されるには相当の理由がいります。
漢名は香水蘭とも称される
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中国では、香水蘭あるいは香草、蘭草と呼ばれています。
その名が示すように、乾燥すると香気(クマリン)を発します。
身につけたり、浴槽に入れたりするほか、頭髪を洗うのにも使用したといいます。
煎じて飲めば利尿効果もあるということです。
玄関の戸口の上の方に吊るしておけば泥棒よけになるという話まであります。
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憶良の時代にも、この芳香や薬効が愛されたのでしょう。
遣唐使船で香水蘭の株を大切に持ち帰ったのかもしれません。
庭園に観賞用として、フジバカマはちょっと見にはキクには見えませんが、ヒヨドリバナと同じエウパトリウム属のキクの仲間です。
フジバカマの名の由来は、花が藤色で苞が袴を連想させるからといわれます。
“株分け”か“さし芽(初夏)”で殖やします。夏に株元まで切り戻しておくと草丈が押さえられ、美しい姿に仕立てることができます。
市の美術センターの庭園でもきれいな姿を見ることができます。
昔は、土手や野原に咲いていたフジバカマですが、最近は自生が激減しているようです。
せめて、庭ででも、秋の七草の風情を守りたいものです。
(酒野通信員)
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