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府中市史談会=公開講座「府中御殿について」報告〔その1〕
※〔その1〕と〔その2〕に分けて報告します。

テーマ:「府中御殿について」―国指定「史跡」までの変遷―
日時:平成23年7月24日(日)
場所:府中グリーンプラザ 大会議室
講師:馬場治子氏(府中市郷土の森博物館学芸員)

 平成20年よりJR南武線府中本町駅に隣接する「府中御殿地」の発掘調査により、「古代国司館(こくしやかた)」とみられる遺構も発見され、武蔵国府跡の一部として平成23年2月に国の史跡に指定されました。
「御殿」「御殿下」の地名にも残り、徳川家康が逗留したと伝わる府中御殿について、府中市郷土の森博物館の馬場治子氏に解説して頂きました。

<「国指定史跡」となりました>
 この地域は従来から「御殿」という字名で呼ばれておりましたが、今回の発掘により、考古学的に御殿の存在を思わせる遺構を確認することが出来ました。しかし、その主要部は既にビルディングが建っている旧イトーヨーカ堂側にあったらしく、残念ながら全容は分かりませんでした。
 ただ井戸跡から「三葉葵紋」の瓦が出土したことは、御殿の存在を裏付ける大きな要因となりました。
 また同じ場所に、古代・平安時代の館跡の遺構が発見されたことで、このエリアが国府の関連遺跡として「国指定史跡 武蔵国府跡」に追加指定されました。府中御殿跡として指定されたわけではありませんが、この発掘でこの地が古代・中世・近世を通じて、府中の歴史を偲ぶ貴重な地域であることがわかり、多くの方たちの関心をよんでいます。

〔右上図は、調査地区全体図(府中市郷土の森博物館、特別展「古代国司館と家康御殿」より)。図上方(北側)が府中御殿の遺構。下方は古代国司館の遺構。左方(西側)に井戸の遺構がある。〕

 
<御殿は誰が作ったか>
天正18年(1590)7月に北条氏が降伏し、豊臣秀吉は徳川家康を関東転封にしました。
『武蔵名勝図会』は江戸後期に編纂されたものではありますが、天正18年7月のこととして「抑々この地に御殿御造営の初めは、小田原落城後豊臣太閤より関八州の地を参らせしより、神君御坐城の地を卜し給いて江城に御定めあり、近国并に近郷の工匠に命じ給いて江城御修理の砌、府中、川越に畋猟(でんりょう)の設けをなして旅館を造営すべし、府中は古えより府庁の地と兼ねて聞召されければ、その旧地へ営むべき旨の台命あり。その頃太閤奥州下向ありしかば、帰陣の前に造畢すべしとて、近隣近里の大匠へ御下知ありて、不日にして御殿造畢すと云」と記述され、家康が奥州より京へ帰る途中の太閤を迎えるために府中に御殿を作らせたとしています。
しかし、『武蔵名勝図会』よりずっと信憑性のある史料として、天正18年(1590)7月28日付の「豊臣秀吉朱印状」に「従岩付小田原迄間、道中ニ御座所可仕候旨」という記述があります。これは岩付(岩槻)と小田原の間、つまり埼玉から東海道への道中に、自分の為の御座所(宿泊施設)を作れと命じているのです。とすれば、この間に位置する府中御殿も秀吉の命令で造営された可能性は高くなります。

<御殿の使われ方>
 江戸周辺には御殿と言われている場所はかなりの数ありますが、実際に遺構が発掘されたところは数例にすぎません。家康は御殿を「鷹狩り」やそれに名を借りた「民情視察」等の際に、宿舎として使用したと伝えられますが、文献によると頻繁に使用したのは、将軍職を秀忠に譲り、大御所として君臨してからのようです。実際に慶長15年(1610)10月16日に府中滞在という家康の鷹狩予定メモも残っています。なお、二代将軍秀忠は何度か府中にきている記録があります。
 元和3年(1617)3月、家康の霊柩が久能山から日光へ向かうルートは、→小田原→平塚→府中→川越→ で、府中御殿にも大きな行列が泊りました。
家康、秀忠・・・・三代家光など徳川幕府初期には、将軍が頻繁に江戸城を出て視察・鷹狩り等を行っていたようですが、その後、将軍が江戸城を出て自由に移動することは難しくなりました。そこで、御殿などの施設は使われず衰退していったものと思われます。
図と写真:出土した「三葉葵紋の鬼瓦」(写真・復元図は、府中市ふるさと文化財課提供)


<府中宿の大火により焼失>
 府中の町ではいくたびかの大火に見舞われていますが、正保3年(1646)10月12日の大火では、本町から出火、府中宿の家屋、六所宮の社殿、府中御殿など広範囲に焼失し、貴重な資料も失いました。その後長く御殿は再建もされず放置されていましたが、100年近くたって、八代将軍吉宗の時代に、新田開発の一環として開墾され陸田となりました。ただその一郭には、幕府に献上する瓜の籠を作る為の竹藪が維持されていました。

※〔その2〕へ続きます

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