協働ステーション中央

【開催報告】NPOと協働で地域文化を創り出す 〜人材育成と組織基盤の整備が協働にもたらす効果を探る〜十思カフェvol.118

今回はNPOと協働でアートプロジェクトを展開し、文化の創造・発信を推進することで東京の魅力を高める事業「東京アートポイント計画」を行うプログラムオフィサーをゲストに迎えました。
社会課題への取り組みとアートがどのように協働し、どんな効果を生み出すのか。これまで50 団体と協働した事例から、協働の意義や効果を伺いました。また、プログラムオフィサーによる人材育成や活動基盤整備の伴走支援の事例から、運営力強化に必要なポイントについても伺いました。

 
   

まずはアートポイント計画の事業について。大内さんが所属するチームでは東京都を中心に、街中にアートプロジェクトを作ったり、アートフェスティバルを開催する事業を展開しています。
当団体は各プロジェクトにプログラムオフィサー(PO)が伴走支援として入り、主に東京都とNPO団体などの間に立って中間支援組織的役割を担います。POが中間でサポートし、時には行政の言葉を解釈して翻訳しながら進めることによって、どんなに小さな団体でも、東京都とNPO団体が対等な関係で進めることができるのです。
また、各プロジェクトはアートを媒介としていることも特徴的です。アーティストや市民が協働して東京の多様な魅力を創造・発信していくことを目的としながら、継続的な活動を可能にするプラットフォームを形成し、地域の担い手となることのできるNPOを育成しています。
当団体は団体の活動を通じて街と人が繋がっていくためには、継続的・持続的な仕組みを構築する必要があり、それにはNPO団体自身が成長し、力をつけていく必要があると語ります。

大内「我々の支援は立ち上げ3−5年の団体を、プロジェクトを通して複数年かけてサポートすることが特徴的です。目の前のイベントに一生懸命になってしまうことが多いが、プロジェクトをきっかけに中長期的にビジョンや企画を一緒に組み立てて考えます。また、やりたいことをうまく言葉で伝えることはとても難しいことです。関係各所の言葉を理解し、理解してもらうためにも、一緒に言葉を翻訳しながら風通しをよくします。
そういったことを時間をかけて寄り添いながら、時には寄り道も許しながら、団体が公的な事業として大怪我をしないようにリスクマネジメントすることも我々の役割です。」
アートを媒介に団体と共催した事例の代表として、「HAPPY TURN/神津島」が挙げられます。ポジティブな島帰りを主な目的としたプロジェクトです。
島内の子供たちと一緒に空き家の庭を掃除をする「島の庭びらきプロジェクト」では、綺麗になった庭でピクニックをしたり放課後の遊び場としてみたり…「なんでもない場所」を誰が何をしてもいい場所とすることで、ふらっと不思議そうに立ち寄る人々との交流を重ねていったそうです。

大内「その場所にイベントやお店を開くなど目的を持たせると、それをめざしてくる人しか集まりません。なんだかわからない場所に『?』をもち、何かをしようと色んな人のつなりが生まれるんです。最近ではひらけた所に子供たちが大きな穴を掘ったり、プールを作ったりしていました(笑)」
行政関係者の人の入れ替わりや、島に来たばかりの人にとっても「なんでもない場所」は訪れやすい場所であり、関係性を作るきっかけの場所にもなっているといいます。
アートと地域社会課題の解決をめざすNPOがどう関わっていくのかという話に、参加者からも質問が飛び交います。
持続的な活動の中でも、特にどんなポイントが重要か?という質問について、大内さんは次のように答えます。
大内「持続的な活動=活動が残っていくことによって、活動の輪が広がり、ネットワークも広がっていきます。ネットワークが広がることによって、困った時の頼り先の関係性もでき、問題解決の糸口が広がることもあります。だから、団体が持続的に活動していけることが重要なのです。

そこで、アートを媒介としている理由として、社会的に違った価値観の人たちにも気づきを与えられるものだからだと考えています。『こんな社会問題がある』という直接的に訴えるやり方も一つですが、アートを通して焦点をずらして伝えたり体験したりすることで、人々の意識を変えていくことを仕掛けています。先程の神津島の例でも、空き家を『なんでもない場所』に変え、なんでもない場所が増えていくことによって、空き家問題が顕在化する、といったような気づきです。」
大内「アートには『巻き込む力』があると考えています。例えばアーティストがやってきて、普段と違ったことをやって見せたり作ったりしているところで、見た人に『?』という謎を生み出します。オーソドックスでない考えややり方を投げかけるのもアートですから。その謎をきっかけに活動に巻き込まれ、意図していなかった人との接点が生まれ関係性ができる、といった状況をつくり出し続けることができます。
そういったアートの『?』から始まる関係性作りによって、違った価値観の人たちの媒介になることもできます。」

アートといっても見た人に癒しを与えるもの、自分を表現するものなど色々ありますが、社会課題を見据えた際のアートプロジェクトは、問題の当事者だけでなく、その周辺の人を意識した投げ掛けも大切だと言います。
大内「特に即効性のある課題解決をしようとすると、そこからこぼれ落ちてしまう人たちが生まれてしまいます。解決を目の前にしたときに『普段見えていない』当事者の周辺の人たちに焦点を当ててあげることも大切です。
そうして『当たり前を取り払い』ながら、色んな視点を持って投げかけることで、こぼれ落ちてしまう人々を掬い上げることも社会課題へのアプローチの一つとなるんです。」
話はプロジェクトに参画するNPO団体に移っていきます。普段社会課題に向け奮闘するNPO団体から、当団体はどのような視点を持って共催団体を採択し、どんなプロセスを踏んでプロジェクト採択に至るのでしょうか?
大内「実は、『こんなことをしたい!』と明確に提案してくる比較的基盤の整った団体は採択しません。共催団体募集時の提出資料などから、取り上げる問題の片鱗とその問題が長期的な可能性があるか、そして団体としても成長の可能性があるかどうかを読み取って判断するようにしています。
それでも思いは強くても言葉としてうまく表現できない人もいます。そういった時は事前に話を伺うなかで、そのプロジェクトに覚悟があるか、POが口出ししながらも、プロジェクトに立ち向かっていける人たちであるかどうかも大事だったりします。」
大内「そうやって立ち向かう団体が、正解や失敗の寄り道をしながら、時間をかけて作り上げていく関係性があるからこそ、地域に根づいたプラットフォームとなり、ゆくゆくはPOの伴走をなくしてもリソース確保やリスクマネジメントができるようになってもらうことが目的でもあります。
行政とPOとNPO団体が共通のミッションのもと東京都の政策を一緒に行っていくパートナーとなとなるイメージです。

その中で生まれていったものをより多くに還元できるように当団体では事例集や言葉の目線合わせのための書籍などで共有しています。」
ご共有いただいた書籍は、当団体ホームページからのダウンロードや、協働ステーション中央でもお読みいただけます。
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