協働ステーション中央

【開催報告】公園の管理・運営に住民や団体が関わり 地域の価値を高める協働の取組み〜十思カフェvol.116

1960 年代に開発された多摩ニュータウンでは、子育て世代を呼び戻すなどインクルーシブなコミュニティづくりが求められています。今回は、その地域で81の都市公園を行政の指定管理で運営する「NPO フュージョン長池」がゲスト。

誰もが利用できる公園の特性を活かし、さまざまな分野の活動や多世代による課題解決の仕組みを構築している事例から、地域にある「場」の活用と協働の意義を考えます。

導入は、ゲストと団体の紹介から。当団体は阪神淡路大震災をきっかけとして、地域のコミュニティ形成を目的に1999年に設立。当時は「暮らしの支援事業」として団地のインターネット回線整備、町会・自治会支援などを実施していました。現在は公園の管理運営のほか、自然環境の保全、大学など教育機関との連携、公園の資源を使ったグッズ販売などの事業を展開。2016年から理事長を務める田所さんは、これらの活動に地元の人たちが関わることで、地域を豊かにするということを大切にしています。
多摩ニュータウンは自然との共存をテーマに開発された、緑が多い街。地域によって差はあるものの、団地に暮らす住民の移動手段の確保や、新しい住民との繋がりづくりなどの課題があるそうです。こうした課題に対し、住民の関係性づくりや、団体などの主体同士をコーディネートする役割を担うNPOが求められているといいます。
当団体の主な活動エリアである八王子市は、都内で最も多い約900の公園があります。さらに約900ある公園のうち、約800を指定管理者制度で管理しています。指定管理者制度とは、行政が民間事業者のノウハウを活かして公園や市民会館、体育館などの公共施設の管理運営を行うこと。当団体も、この制度のもとで市内81の公園を管理運営しています。
公園運営の仕組みを自然環境に例えると、まず公園を所有する行政の土台(岩盤)があり、その上に管理運営をする指定管理者がいわば表土として環境を整え、さらにその上で木々のように団体や個人が活躍し成長することで、「公園をベースにさまざまな人が主役となる地域をつくっている」のだと田所さんはいいます。
では、実際に年間146もの団体と協働する当団体では、どのようなプロジェクトを実施しているのでしょうか。例えば定年退職後の方が経験や知識を活かし、公園の管理に携わる「生きがい就労制度」では、団体の若手職員とチームになって樹木の剪定やベンチの修繕などを行います。そうすることで、若手の人材育成にもなるほか、地元の人が関わることで近隣住民とのコミュニケーション促進にもなっているそう。その他にもインターンやボランティアなど、多様な関わり方の選択肢をつくっています。
さらに、公園内の壁に落書きが増えた際には、小学生向けに自然観察会を行い、壁に鳥のイラストを描くウォールペイントの取り組みを実施。これには福祉団体も参加し、さらに子どもたちの親や兄弟、近隣住民が見にきてくれました。落書きが無くなったことはもちろんですが、大切なのは「地域の見守りの目が増えたこと」であり、取り組みの先に実現したい目的を考えながら企画することがポイントだといいます。
その他にも町会・自治会と協働で実施した「パークキャンドルナイト」や、学童を卒所した子どもたちを対象とした「子どもの居場所づくりプロジェクト」などを紹介いただき、最後は公園活用の未来と協働についてお話いただきました。
全国で公園は10万あるといわれますが、特に活用が難しい規模の小さな公園を行政と協働してどう活用し、地域資源としていくかが重要です。また、そこに暮らす人たちとの対話から、求められる機能や場のあり方を再構成し、地域のニーズに応じて公園も役割分担をしていくことが必要だといいます。
一方、公園の管理者がいることで、住民による課題解決の機会が失われてしまう側面もあります。そのため管理者としては、地域をよりよくする担い手を育成するという意味でも、住民が主体的に関わる機会を創出することが大切だとお話されていました。
また、公園の中だけで全ての課題が解決することはなくても、公園に関わってくれた人が日常に戻った時にどんな変化を感じてもらえるか?ということも一つの成果指標になるというお話に、会場の皆さんも頷いていました。田所さんにとって協働は「最強の役割分担である」とのメッセージをいただき、今回の十思カフェは閉会となりました。
今回も、トークの内容をグラフィックレコーディングに描いていただきました。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

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