協働ステーション中央

【開催報告】日本の伝統技術を活かし、ファッションの世界市場に挑戦する〜十思カフェVol.109

協働ステーション中央では、身近な社会課題やそれを解決する協働事例をテーマとしたトークイベント、十思カフェを開催しています。12月は株式会社MOONSHOTの藤原新さんがゲストです。

大量生産・大量消費による衣料廃棄やコロナによる経営難など課題に直面するファッション業界。他方で日本のものづくりは、伝統工芸品の生産額が40年前と比べ約1/5にまで落ち込んでいる。伝統技術である、襤褸(ぼろ)や裂織、刺し子などの技術を持つ団体と協働し、作り手の自立支援にもつなげる服作りから、課題解決の仕組みと、企業からみた協働事業運営のポイントを伺いました。

まずは、参加者全員から自己紹介と参加動機をお話いただきました。ファッションを軸にした社会貢献や協働の事例は十思カフェで取り上げるのは初めて。十思カフェに初参加の方も多くいらっしゃいました。

今回はすべてトークセッション形式で進行し、余すところなく藤原さんにお話を伺うことができました。
地域の伝統技術を活かしたブランド「KUON」は2016年、世界で闘うことを視野に入れたブランドとして立ちあがりました。パタンナー上がりのデザイナーとチームを組み、日本の伝統的な生地使った襤褸(ぼろ)のジャケットが代表作です。
社の活動理念(philosophy)に「デザインによる社会的課題の解決に取り組むこと」を掲げており、ものをつくってお客様に着てもらうまでのプロセスを設計し実践することを大事にされています。
ファッション業界の仕組みや服づくりのプロセスもお聞きしました。戦略的に海外展開するために審査会に出展し、見事受賞したことを契機に「KUON」が国内外から評価されました。東北や沿岸地域で150年近く残されてきた襤褸(ぼろ)の、裁断残りを手作業で東北地方の高齢女性たちがパッチワークするという、日本ならではの文脈と技術は、アップサイクルとして海外で評価されます。sustainable企業ではなくファッションブランドとして評価されることが藤原さんたちの本質です。
藤原さんはファッション業界に身を置く傍ら、元々は法律家です。困り事のある人を相手に仕事をする中、いいことをするといいことが返ってくることに気づき、好きなファッションをツールにしたソーシャルビジネスをやろうと立ち上げ。その直後に3.11東日本大震災が起こり、東北地方に目を向けたことで「KUON」が息吹を上げました。ボランティアやチャリティーではなく、ビジネスで仕事を通じ、持続可能なエンパワメントで関わりたいと、南相馬、大槌の刺し子技術を持つ地元の女性職人たちと協働しています。
法人格を問わず、藤原さんが協働相手と大事にしていることは、お客様が満足するかという共通認識を持つこと。すぐには理解し合えなくても、実際に見てもらう、対話を重ねる、そして相手が本気でやるかを見極める。「技術は後で、モチベーション・やる気がないとビジネスとしては成り立たたない、『続けること』を突き詰めることが課題解決にもつながる」藤原さんの力強い言葉の数々は、参加者にも響き、質問が多く挙がりました。
事業家である藤原さんから、協働相手、特にNPOに向けてのアドバイス。「一緒にやるんだから、お互いのことを考えないといけませんね。意外と自分したいことばかり主張しています。あなたの目線に立ったらこんふうにやることができますよ、その上で私たちはこんなことをしたい、という考え方、伝え方が大事だと思います」。まさに藤原さんが今まで体現されてきたことだからこそ、言葉が響きました。
当日は、持参いただいた「KUON」のプロダクトを手に取る機会もあり、会終了後も参加者と話が尽きませんでした。
また、当日はファシリテーショングラフィックをお願いしました。
ステキなグラレコをありがとうございました。
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