協働ステーション中央

【開催報告】視覚障がい者の目となる道案内で自由な外出を支援する 〜困りごとの当事者が切り開き・つくる協働の取り組み〜十思カフェVol.107

協働ステーション中央では、身近な社会課題やそれを解決する協働事例をテーマとしたトークイベント、十思カフェを開催しています。10月はことばの道案内の市川 浩明さんがゲストです。

視覚障がいのある人にとって、移動の不自由さは外出する意欲を閉ざしてしまうものでもあります。そこで当団体は、行先までの距離や障害物、目印などを音声のみで伝える「ことばの道案内」を制作。自身も中途で視覚障がいとなった市川さんが、想いをどのように具体化し、他組織との協働につなげているのか、お話を伺いました。

まずは団体紹介です。視覚障がいの支援を行う団体には、就労支援やレクリエーションなど様々な活動があります。
その中でことばの道案内は「移動支援」を行っています。
具体的には目的地までの道順を言葉で紡いだ“ことばの地図”を、WEBサイトに公開しています。
視覚障がいの方はアプリ等を利用してその内容を音声で聞き、言葉で理解して道を進みます。
晴眼者の方は地図を目で見ることができますが、視覚障がいの方は画像の認識が難しいのです。
目の見える方は、点字ブロックなどの支援があれば大丈夫と思っているかもしれません。しかし、全ての道にそれらがあるわけではありませんし、仮に目的地まで点字ブロックが伸びていたとしても、分岐したその先に何があるのか、目的地がどれなのかは分かりません。つまり、点字ブロックがあるからといって、視覚障がいの方が目的地にたどり着けるわけではなく、「点字ブロックがあったとしても、道案内の必要がある」そうです。
また、視覚障がいの方が外出する際には、サポーターの支援を受けることもできるそうですが、やはり「一人の人間としてそこに行けたことの喜び、感動がある」のだと市川さんは言います。
市川さんが代表になってからは3年が経ったそう。
2014年には認定NPOを取得。これも協働の観点から組織をブラッシュアップしていった結果なのだそうです。
団体は行政・企業・当事者団体と、さまざまな主体と協働に取組んでいます。関わり方としては、行政なら提案事業や委託、企業においては委託、寄付、助成金、協賛など複数のパターンがあるそうです。
当事者団体との協働では、例えば事業展開にあたって地元の人の協力を得たい場合などに、その地域の団体と連携することがあるそうです。また、“障がい”という広い枠で捉えることで、知的障がいや車椅子に関連した活動などとも連携できる可能性があるとおっしゃっていました。
協働は、ことばの地図をつくるために道の距離を測るなど、必要な作業を晴眼者の方と視覚障がいの方が一緒に行うほか、企業や学校への接し方の研修、出前授業などを通じて視覚障がいの方へのサポート方法や、障がいへの理解を深める活動もしており、いろいろなやり方を実践しているとのこと。
一番の価値は「道案内を共通化し、WEBで公開し、無償利用を可能にしたこと」。約2,700もの道案内を公開。駅構内や、施設が無くなったものを含めると作成は5,000以上。
団体の目的をブレさせることなく、移動支援に特化したプロ集団であるということを伝え、活動継続につなげてきました。
最後に、コロナ禍での活動について伺いました、コロナの影響で移動が自粛されるいま、道案内の利用率は比例して下がっているそうですが、これは「本当に道案内が使われているということのしるし」だと市川さんは言います。
今後はウィズコロナと呼ばれる時代のなかで、密着を避けるためガイドヘルパーさんを利用できないことも多くなるだろうとのこと。そうなれば、これまで一人で外出できるようになることを目的に制作してきたことばの道案内が、より一層求められるのではないか ――。
「それなら、私たちが作らない理由はないと思うんです」と、力強いメッセージで締めくくってくださいました。
今回の十思カフェは、当事者の方や障がい者の就労支援を行う企業の方、「支援するだけでなく、当事者の方の力を発揮する場を作りたい」という思いを持った方など、多様な方が参加されました。

ゲストトークの後には、当事者団体同士で協働する際のポイントや、障がいに対する社会の無関心をどのように変えていけるかなど、たくさんの質問や意見もいただき、2時間のイベントは閉会となりました。
◇次回十思カフェ開催のおしらせ
「企業と協働でママの活躍を仕組みで支える〜活躍するママを応援し、困っているママを支える取り組み」
次回は一般社団法人MOTHER をゲストに迎えます。約250 名のママのスキルや能力を活かし、企業協働で商品を開発・販売。売上げの一部を寄付する「MOTHER チャレンジ」を展開。当日はスキームや企業とのパイプづくりについて具体的に伺います。関心ある方や協働したい企業・自治体・団体のご参加をお待ちしています。
詳細:http://chuo.genki365.net/news/hp0001/index03010000.html
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